「某ソフト会社退職マニュアル」の巻 (2003年1月)

専門学校を20歳で卒業して、そのまま就職しておったワタクシですが、このたび15年弱(正確には14年10ヶ月)お世話になった会社を辞めてきました。さすがに正社員を辞めるちうのは、バイトを辞めるってのと訳が違って、何やかんやとややこしいお約束があったのでありました。

なので「ちとまとめてみとこーかな」ってなことにしちゃうのでありました。ただし、これは「この会社やから」ってな約束事も当然あると思われるので、他の会社ではどーなんかちうのは、またわからんことでありますことを、あらかじめご了承ください。

ちなみにこの会社、中途が少なくて学生から入社する人が多いため、ここを辞める人は「はじめての退職」の場合が大多数であります。正式なマニュアルはなさそうなので、1記録として残しておくことにします。

ことの発端は2002年年末であります。仕事のくぎりもついたし「年明けに辞めるって言おうっと」と決めたものの、どっから手をつけたらええのか、さっぱりわからんかったワタクシは、「とりあえず、退職届ってのを書かなかんのんちゃうんかなー?」とWEBで「退職届」を検索し、いろんなフォーマットを探したり、出すときのお約束事があるんかどーかを、お勉強してみました。

そん時に「いきなり届けを出すんやなくて、退職日を相談してから書きなさい」って書いてあったので、年明けの1月6日に「辞めたいんやけど何日付で退職届書いたらえっかなー?」とグループリーダーの某まえだくんに相談し、「1ヶ月前って決まりがあったはずやから、2月15日付けかなー」と決定しました。

で、その晩にWEBで探したフォーマットの中から、一番無難そーなもんを探して書いて、次の日に提出したのでありました。ちなみにワタクシがマネしたフォーマットはこれっす。縦書きって右利きやとすぐ汚しちゃうんよね。乾かんうちにどんどん書いちゃうから。後「私こと」ってのを他の行の一番下の字と合わせたいーとか思ったんで、「私こと」は最後に書いたりとかしました。

でも,一番大事なことは、「酔って書かない」ちうことでしょう。ワタクシ飲みに行ってたので、ちと酒が入っておりまして。結構漢字間違えやらかしました。

ちなみにワタクシと同時期に退職届を提出した某高木嬢は「え、プリンタで印刷して、名前だけ手で書きましたよー。しかも全部会社でやりましたー」ちうてたので、どっちでもええと思われます。

で、「退職願」(「届」やないほうがええらしいので)を出して2,3日後、部長の某たむらさんに会議室に呼ばれまして、「何で辞めるの」とか「次どーするの?」とか世間話をしまして。「もう、ぼくのとこにこの届がくるちうことは、決定なんやろなー」ちうてはったんで、この話し合いは「確認」みたいなもんなんやろーと思われます。

「退職金とかどんくらいなんやろなー?普通の会社やったら100万はでるやろけど、うち普通やないからなー」「でしょ。うちは『ない』と思ってるんで、あてにはしてないっすよ」ってな、不景気らしい会話もありーの、「次決まってるんやったら、たぶん再就職手当ってのが出るでー。失業保険関係調べておきやー」「ほー、そんなんあるんですかー。ほな調べておきますー」ってな、豆知識講座もありました。

ここでニッセイの保険をしてるおばちゃん3号「ひでちゃん」にお電話です。「あのねー、今給料天引きになってる保険を、銀行引き落としに変えたいんやけどー」「わかったー。書類送るわー」ってなわけで、ニッセイの切り替えをしておきました。

うちの会社で辞める人のお約束事として、殆どの人に秘密にしといて「退職日に会社にいる人、一人一人に挨拶して帰る」「全社メールで『お世話になりました』メール出す」ってのが、行われてるっぽかったのですが、ワタクシどっちもやりたくなかったので、もうこの段階でみんなに「辞めるの辞めるのー」と言いふらしました。

普段からそんなに喋りもしない相手に、挨拶しに行くのも、メール出すのも「何かちゃうやろ」と思ったからであります。そのかわりお世話になった人とか、仲良くしてた子とかには、ちゃんと自分で「辞めるからー」って言うたっすよ。ワタクシ的には、ここが一番メソメソスイッチが入るとこでした。

仕事的には、年末までやってた仕事先のお客さんとこに、「辞めますんで次はこの人に引継ぎますー」って挨拶にも行きました。「今までやってたソースとか資料とか、もう一回CDRに焼いて提出してください」って言われたんで、焼き焼きして送ったり、バックアップ取ったりしながら月末まで過ごしておりました(残り1週間は殆ど遊んでおりましたが)。

何やかんやいいながら、仕事以外のお遊びデータもかなりPCに入っておったワタクシ、アウトルックのアカウントの「自分の家のぶん」を削除、「受信トレイ」の仕事分以外を削除、IEのお気に入りもキャッシュも削除、Googleのキャッシュも削除と「証拠隠滅」に走りました。うー、でもまだなんか残ってるよーな気がするにょー。まー、それはもーしゃーないかな。

会社に置いてた自分の荷物はダンボールに詰めて、お持ち帰りしました。で、仕事資料も別ダンボールに入れて地下の倉庫に積んでおきました。何年も前の仕事のんやし、もうそのシステムが動いてるわけでもないので、そのまま捨ててもええようなもんです。15年前のなんで、5インチFDとかあるし。でも「FD立ち上げ一太郎」とかあるんで、マニアは欲しいかもねん。最近の仕事のんだけは社内の資料置きんとこに積んでおきました。

あ、後某たむらさんから「書類上1月31日付退職にするから、退職届の日付書き直してー」と、退職届返ってきまして。提出日を12月27日に、退職日を1月31日に書き直して提出しました。じゃんくさがりのワタクシが「うわ。うちもワープロにしとけばよかったー」と思ったのは、ご想像の通りであります。案の定数回書き直しました。

総務の某おのさんが「やまわきさん、何かわからんことがあったら何でも言うといでやー」と言ってくれたので、「もー、『はじめての退職』なんで、なんもかも全部わからないっす」と訴え、「年金と保険」のお勉強会をやってもらいました。

1ヶ月プー太郎になるので、会社で入ってる「厚生年金」「雇用保険」「健康保険」の切り替えをしないといかんそうな。「やまわきさんは3月から次の会社に行くんやんなー?ちゅーことは雇用保険の受け取りはせんねんな。ほな離職票渡すからこれは次の会社に提出するんやでー」「はーい」

「ほんで、後の年金と健康保険やけどなー、年金は『国民年金』に切り替えせんとあかんなー。ほんで保険は『今の保険を継続』『国民健康保険に切り替え』の二通り方法があるわー。どっちにしろまず、区役所に行って『国民年金、国民健康保険』に切り替えに必要な書類を貰っといでー」と言われたので、貰ってきました。

健康保険を「今の保険で継続」ってすると、怪我した時の自己負担は2割やけど毎月の支払いが倍(会社に入ってる時は会社が半分負担してたから)。「国民健康保険」にすると、毎月の支払いは1月分やけど自己負担は3割やそうな。「怪我せんかったらええんやんかー」ってなわけで「国民健康保険」に決定です。

「あ、たむらさんが『再就職手当』がどーちゃら、って言うてはったんですけどねー、あれは何ですかー?」「あー、あれなー。自己都合で辞める時は3ヶ月は手当てもらえんから、すぐ就職するからってみんなが貰えるもんちゃうんやけどなー。たむらさん、辞める人みんなに言うてるみたいやからボクが『あれはそーゆーのんとちゃうでー』って言うてまわってるんやー」「なるほどー。手当て貰いだしてからのもんなんっすねー」「そやねん」

退職日当日は、1月分の勤務表を書きまして。いつもなら勤務表と一緒に使った交通費の申請書類も出すのですが、「交通費だけは当日払っとくから、総務の方に持ってきてー」と総務の某おのさんに言われてたのですが、何日に客先に行ったのか忘れてたのでもう「あれはうちのおごりや」と奢ってあげることにしました。

某おのさんに保険証を返して区役所から貰ってきてた「健康保険証紛失届」に、「退職のため」って書いてもらって「ほなこれは2月1日に出して、郵送で送るからねー」と言われ、「離職票」と「年金手帳」を貰いました。「これは、めっちゃ大事なもんやからなくしたらあかんよー」「はーい」「またわからんことが出てきたら、いつでも言うといでやー」「はーい」

てな感じで、最終日は当初の予定通り「全員挨拶なし」「全社メールなし」で、会社を後にしたのでありました。

晴れてプーになったワタクシ、2月4日に某おのさんから「健康保険紛失届」が郵送で届いたので、区役所に行って「切り替えしたいんですー」と申請してきました。書類に名前とか住所とか書いてハンコついて、切り替え完了です。会社の封筒を持ってたら「あ、これがあったらこの場で保険証をお出しできるとおもいますよー。ちょっと待ってくださいねー」ちうてもらえたので、めでたく国民健康保険証をGETできました。ワタクシ週末から旅行に行こうと思ってたから、これはラッキーであります。インフルエンザも恐くないぞー(恐いけど)。

「あ、あと年金手帳って持ってはります?」「へ?」「こんなんなんですけど」「ないですねー」「見たことないですか?」「見たことないですねー」「そしたら、こちらの方で調べてみますね。後ほど振込用紙がお宅の方に郵送されるとおもいますので、振り込んでください」「わかりましたー」

で、早速「こまったときの某おのさん」にお電話です。「おのさん、うちって年金手帳って貰いましたっけ?」「渡したよー。『これはめっちゃ大事なもんやで。なくしたらあかんでー』って渡したやんかー」「うん、何かそれは言われた記憶があるんですよねー」「そやろー?本社から送ってきたやつで、封筒の長さが3分の2くらいのやつやでー」「あー、それも何か見覚えがあるよーなきがしますー」「そやろー?探してみー」「わかりましたー。うちが持ってるっぽいですねー」

ってなわけで、「年金手帳捜索隊」が必死こいて探してみたところ、「大事なものを入れる引出し」にその「長さ3分の2」の封筒がいるのを発見。「これやーん」封をあけたら区役所でみせられたのと同じ色、形の年金手帳がいてました。

「わー、おのさーん、ありましたー」「もー、ほんまにこの人はー」・・・ちなみにワタクシ、某おのさんにこの言葉をこの1ヶ月で10回は言われてると思われます。

無事に発見された手帳を持って、再度区役所に行きまして、さっき対応してくれたおっちゃんに「ありましたー」とみせてきました。たぶんちょっと区役所の処理が減ったと思われます。よかったねー。

ってなわけで、年金と健康保険の手続きは完了したのでありました。

以上、2月4日までの出来事でした。「退職金が無事にはいるのか」編はあるのか?

・・・・・・2ヵ月後から2回にわたって振り込まれました。よかったよかった。