Jun 05, 2005
「失踪日記」(吾妻ひでお)
マンガ家さんで「もう書けなくなりました」ちうて消えてしまう人がいるってのは、よく聞く話であります。特にギャグ系のマンガを書いてる人で多いみたいっすね。で、そんな話になった時には「鴨川つばめ」と並んでよく登場してたのが「吾妻ひでお」でありました。で、この「失踪日記」は吾妻ひでおが「書けなくなってた間こんなことしてました」ってのを、自ら振り返って書いたものであります。
もう、内容としてはホームレスになってみたり、配管工になって働いてみたり、アル中になって精神病に強制入院してたり、ってなハードなことになってるのであります。登場人物も自分が主人公になってるのでありますが、その登場人物である自分をとっても客観視して笑いネタをおりまぜながら書いてるので、読んでてそんなに苦になったりしないよーになってるのです。苦労自慢とかもないしね。
自殺しようとして首を吊ったら寝てもたとか、保護された警察でおまわりさんに「吾妻せんせいほどの人が!」って怒られてたりとか、マンガ家やめてるのに配管工の社内報についついマンガ投稿してしまったりとか、そん時はマジやったんやろーけど、後から笑いのネタに出来てるってことは、一回自分の中で消化できたちうことなんやろなーってことやと思うのですね。全体的に「その辺を全部消化しましたよ」ちう安心感が漂ってるわけなのです。
なので最後にとりみきと対談してるのを読んで、「あー、これはほんまに本人がやってきたことなんや」と思ってもう一回読み直すと、「よくこんなマンガに出来るくらい復活したよー。すごいなー」って思いがきて、違うように読めたりするのであります。大体アル中で手が震えて絵が書けない状態やったひとが、こんなにみっちりマンガかけてるってのがすごいことで。線ふるえてないもんなー。
吾妻ひでお自身は、その昔カルト的人気のあった人らしいのですが、ワタクシとしては昔のマンガを知らんのです。なのでこれが初めて読んだ吾妻ひでおマンガでありましたが面白かったっす。続編出たら買うかも。女の子の絵とかは見たことあったんで、「あー、この絵の人かー」って懐かしかったっす。手塚治虫とか石森章太郎でおなじみの「足がでかくて丸い」系の絵でありますよ。
Amazonのレビューを読んでたら「自殺しようとして失敗する場面から始まるこの漫画は『続く』で終わる」ってのがあって、それが一番このマンガの全体像を表してるよーな気がしました。ま、先のことはわからんけど、こんだけ逃げてる間もずっと待ってた奥さんが一番すごい人のよーな気がしまする。
※ この本を最後まで読んだらカバー裏もちゃんと見てみることをお勧めしまする。
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