Mar 20, 2007

「バッテリー(1~6)」(あさのあつこ)

自分がやってたスポーツの小説ってのは、どーしても見る目が厳しくなっちゃうのであります。すぐ「ありえへん」とか思っちゃうのですよ。ってなわけで、中学・高校とソフトボールをしていたワタクシ(野球がしたかったけど野球部なかったし)にとっては、「野球もの」は「ギャク」か「ノンフィクション」以外は受け付けんかったのです。

しかも「バッテリー」って、「『天才ピッチャー』が主人公で感動話」って前情報が入ってたもんやから、「はいはい、『速い球でみんながビックリー』とか『天才くんがみんなになじめなくってどーちゃらら』ってやつやわー。面白くなさそーだべ」と、読む気にすらならんかったわけなのであります。スポーツもんで「天才」設定って何か安易っしょ。「そらまー、いろいろ話も作りやすいやろーよ」と、天才じゃなかった元選手はひねくれちゃうのであります(マンガならいいんやけどね)。

でも何か弾みで買っちゃったわけですよ。文庫でずらっと「5巻」まで出てたんで「まー、どっかでネタバレとか見んうちに、ここらでサクっと抑えておこうかしらん」と、ゆるーく読み始めたわけですよ。文庫最終の6巻はまだ出てないけど(4月発売)「さわやかーな話になったら、ちゃっちゃとやめちゃえ」ぐらいに思ったし。

案の定、「バッテリー」「バッテリー2」「バッテリー3」と、天才原田くんをめぐって、まわりのみんなでしっちゃかめっちゃかで「まーたいへん」「そらたいへん」「あらららたいへん」ぐらいの感想しか持てず、「こんなファンタジーな感じで6巻までいくんかねー」とか思いながら、日曜日に「バッテリー4」と「バッテリー5」を読んだわけですよ。

そしたらば。明けて月曜日なぜか「バッテリー6」まで読み終わっちゃいましてですね。ええ、文庫まだ出てないから単行本ですよ。「ジュンク堂」で買っちゃったっすよ。あれれ?あれれ?予定外の出費です。あれれ?

ちうかねー。もーねー。何が悪いって瑞垣が悪い。瑞垣俊二が悪い(フルネームで書いてやりましたわ)。瑞垣のせいですんごいテンションあがっちゃいました。「お前みたいなヤツが来てくれんとー」です。永倉と原田なんか「お前らの話は、もーえーから」状態です。4冊目にしてやーっと感情移入できるヤツが登場したわけですよ。長い前振りやったなー。

「バッテリー」は、いろんな人目線で話が進む形になってるのでありますが、「うんうん、その気持ちわかるぞー」って思えるのは瑞垣だけやったですね。後はもー、全部ステレオタイプっちうかねー。強くなりたいって思ってるチームが、そんな爽やかなわけないっちゅーねん(ほんで嫌がらせなんかもっと地味やねん)。どうも天才・原田中心の話が「うすっぺらいわー」と、かなーり鬱憤たまってたみたいで。反動もあって「5」「6」は「瑞垣だけが頼り」状態で一気に最後まで行ってしまったですね。

だって大概の選手は天才じゃないから、可能性がどんだけあるかもある程度見切った上で「あれは出来ないけど、こっちは出来るかも」とか思いながら練習するわけっすよ。他人から「すごいねー」とか「上手やねー」とか言われたって、「自己評価」なんか結構低いし、それを一番信じてるわけですよ。一歩間違ったら簡単にブルーになれちゃうもんなのです。

ほんでまた面倒なことに、そんなひねくれてんのに野球が好きなわけです。その辺の目線から書かれてるのって瑞垣だけやったもんね。言うことやること考えてること「お前はうちか」って何回思ったことか。

ヤツは「腹黒代表」っぽく書かれてるけど、野球にかぎらず「対戦型スポーツ」の試合に関しては、「いかに相手をだますか」とか「いかに見破られないか」とかって意識抜きでは語れないと、ワタクシは実感しております。「腹黒くないヤツなんかいません」と断言していいくらいっす(天才以外はね)。しかも野球は相手一人じゃないしね。バッターなんか相手の野手9人(更にベンチも含めていい)相手に、「あっちに打とうかなー」って顔しながら「バント」したりするしね。ほんで裏をかいて「やーい、だまされよったー」とか喜ぶわけです。爽やかなわけあるかい。

いやーそれにしても「5」と「6」は、瑞垣と一緒の気持ちになりながら読んでたから、つかれたつかれたー(「シンクロ率測定の後は疲れる」って気持ちがわかったー)。瑞垣出てこんかったら「バッテリー、面白くなかったわ」って言うたろーと思ってたのでありますが、こやつのせいでちょっと盛り上がってしまったではないですか。泣きそうやったではないですか(泣いてないけど)。

まーねー、でもなー。「おミズ」て。お友達ももうちょっとちゃう呼び方を考えたってくれたらいいのにー。あ、あと全体的にいえるのは「お前ら無駄に相手に名前呼びかけすぎ」。電話とか立ち話とか、二人っきりの会話でも名前呼びかけまくり。それはありえません。

ってなわけで「バッテリー」に関しては、「4」、「5」、「6」があればいいです。ワタクシの中では、この話は「瑞垣主役」になっちゃったので。ちなみに文庫の「5」に入ってる短編は、瑞垣がらみの話なのでありますが、これもお気に入りっす。「瑞垣がらみ」が好きなので、門脇も海音寺も横手二中もクリノスケも好きなのです。簡単なワタクシですね。

続編の「ラスト・イニング」(感想はこちら)が、これがまた「瑞垣目線」な話になってましてですね(だって帯に「瑞垣のその後の物語」とか書いてあるんやで。買うっしょ)。これまた「シンクロ率200%」状態で読んじゃって、「瑞垣ーっ」ってメソメソしかかったのですが(泣いてないもん)、「それは次回の講釈で」(by 芥川隆行)。

※ 今度はもうちょっと冷静に書こうと、既に今回を反省しています。

※ 「6」の文庫が出たんで買っちゃいましたー。短編は付いてなかったっす。あさのさんの熱いあとがきはあったけどね。

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