Mar 15, 2006
「イン・ザ・プール」(奥田英朗)
奥田英朗は「延長戦に入りました」(感想はこちら)は「面白い」と思い、「最悪」を「こら合わん」と思ってたワタクシ、こーゆー場合なかなか3冊目には行きにくいのでありますが、「イン・ザ・プール」は直木賞「空中ブランコ」へ続く話やって聞いたんで、「先に読んどこかな」と読んでみたのですが、これは面白いっす。
形式としては「連作短編集」っす。普段の生活で「どーも調子が悪い」ちう人たちが紹介やら、何かの縁やらで、「精神科医・伊良部一郎」のとこに訪れちゃいます。
伊良部一郎がやってることが治療なのか何なのかは、読んだ人それぞれが判断すればいいことなのですが(少なくとも医大で教えてるやり方じゃないと思うっす)、最終的に患者さんはちょっと症状が楽になっていくのでありました。
…とか書くと、「おー、ほのぼのしたええ話なんかいな」と思われるかもしれませんが、伊良部一郎、プヨプヨに太った中年マザコンで、どんな悩みを聞いても開口一番「さあ、注射、いってみようかー!」な注射マニアで、お金があってやることなすこと「おこちゃま」な、早い話が「健康なときなら決してお友達になりたくない」タイプであります。
患者さんが深刻に話しをしたって聞いてないし、その悩みを面白がってたり利用しようとしたりで。まず患者さんを「心配してない」ちうのが特徴であります。
患者さんも初対面では、確実にいい印象をもってないし、でも「明日もきてねー」って言われてしょうがなく通うのでありますが、自分の周りの「大丈夫?」って心配してくれる人より、だんだん伊良部と喋ろう喋ろうとするのが特徴。結果だけ説明すると「何でや?」なことなのですが、読んでるととてもその気持ちの流れがわかることになります。
連作なので、毎回いろんな患者さんが登場するのでありますが、個人的には「フレンズ」がお気に入り。携帯依存症で携帯を離すと手が震えちゃう、メール中毒の高校生の話なのですが、もうここでの「まゆみさん」(注射係・看護婦)の男前っぷりが大好きっすね。いいなー、まゆみさん。ちょっと最後泣きそうやったっすよワタクシは。
ってなわけで、「長編読む時間はないけど、短編をサクっと読みたいな」ちう人には、かなりお薦めであります。読んだ後もいい気分になれるっすよ。当然「空中ブランコ」も読むことに決定ー。早く文庫で出ないかな。
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