Jun 09, 2005

「流星ワゴン」(重松清)

推理小説とエッセイばっかし読んでるワタクシが、何でこれを買ったのかわからんのですが(たぶんタイトル買い)、一気に読んだところ大はまりで大泣きでありました。でも、一晩たってみて何で大泣きやったのかがよくわからんのであります。

で、その問題の「流星ワゴン」、どんな話かといいますと、38歳の永田さんが主人公であります。嫁とも一人息子ともうまくいかなくて、田舎の父親(ガンで死にかけ)とも仲良くありません。会社もリストラされそうです。「なーんかもう死んでもいっかなー」とぼーっとバス停のベンチに座ってたら、ワインレッドのオデッセイがぶーんとやってきて、同じ年ごろの橋本親子(父と息子)が「乗りませんか」と誘ってくるので乗ることにしました。

実は橋本親子は数年前に事故で死んだ幽霊でありまして。永田さんに「あなたの人生の大事な場所に連れて行ってあげますよ」と、ちょっと時間をさかのぼって数年前のいろんな場所に連れて行きます。

連れて行かれた先では永田さんは一人ではありません。なぜか永田さんの父親が登場します。それも永田さんと同じ年に若返った状態です。38歳の時のお父ちゃんは「俺らは友達っちゅーことにしよー。お前のことはカズって呼ぶから俺のことはチューさんと呼べ」とフレンドリーです。

ま、ドライブしたり過去に戻ったりしてる間にどんなことがあったかちうのは、読んでみちゃってくだされ。キーワードは「過去は変えられない」ちうことです。ちょっと浜村淳が乗り移りかけました。あぶないあぶない。

人と付き合うと、相手が「してほしくない」ってことを「良かれと思って」してしまったり、その逆があったり、ってことの繰り返しで、実際好意が報われることってのは案外少なかったりするわけで。でも好意を向けた側が「いいことしてあげられた」って思い込めるのは、受けた側が我慢してるのを見過ごしてるって場合もあるわけで。当然家族ってなるとその好意の行き来が多くなるから、我慢もどんどん溜まるわけで。

って、人付き合いの基本原則をかなり考えさせられちゃいました。しかもこの話はその「人付き合い」を「親子」に絞ってるから、余計に濃いわけで。だって他人やったら、仲悪くなったら別れたらええだけやもんね。親子ってのはそーゆー逃げ道がない付き合いやもんなー。どうせやったら仲良くしたいっすよね。

とかワタクシはいろいろ考えたのですが、そんな説教くさい話ではありません。家族の話やけど「なんかちょっと疲れちゃったなー」って人にもお勧めやと思います。ストライクゾーンは「男の子がいるお父さん」やと思うんやけどね。泣くかどうかはその人によると思うのでありますが、ベタないい方をすると「読んだ後に人に勧めたくなる本」であります。本好きの方は「『本の雑誌』年間ベスト1」の威力を体験してみてくだされ。

※ ちなみにワタクシがどこで大泣きやったか、ってのは秘密ちうことで。

※ 今もう一回読み直してたら、違うとこでうるうるしまして。もうさっぱりわかりません。

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